帰るなり汚れ物を旅行用のバッグから洗濯機に放り込んで、木下は軽くため息をついた。
単身赴任で東京支店に異動して半年。金曜の夜、新幹線で帰阪して週末を自宅で過ごし、月曜の朝一番の「のぞみ」で東京に戻る生活サイクルにも少し慣れてきた。
子供は上が女の子で大学生と、高校2年生の弟の二人。もうそれほど手が掛からないだろうと単身赴任も快く引き受けたのだった。
しかし、40代後半になってのひとり暮らしには、思いもかけない落とし穴が待っていた。
十年も連れ添えばセックスレスになりがちだが、結婚前、先輩社員に『昼の仕事より夜の仕事を大事にしとったら夫婦は安泰やで』と教えられた木下はその言葉通り実行してきた。事実、ご近所もうらやむ明るい夫婦だった。
「おとうさん、東京で浮気でもしてんの?」
布団の中で妻が冗談まじりでそうたずねたのは、前戯を終えひとつになって腰を動かし始めたとたん、小さく縮んでしまったからだ。そんな症状が2〜3週間続き、夫婦はため息の毎日を過ごす。
東京で同僚と遊んでいたのは事実だが、それが原因とも思えなかった。
大学時代の友人に相談して元木先生を紹介してもらった。
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