元気堂物語

【誰にも話せない悩みがある】

自尊心

「なあ、松岡課長ってメチャイケてると思わへん?やさしいし、かっこイイし。あんな男に誘われたら私、絶対ついて行くわ!」
女子社員から羨望の眼を向けられる松岡は、仕事もバリバリこなし、上役からの受けも良い一見して完璧な二枚目サラリーマン。『けど、あの人の悩みは誰も知らない…』半年前、木下香織はそんな松岡から食事に誘われた。

男女の仲になったのは3カ月前のことだ。
初めはお互いセックスの相性も良く、週末は必ずホテルで過ごした。松岡に異変が起きたのは、クリスマスの少し前だったか。

「どうしたの?」 松岡が入ってくると身構えていた香織は、突然動くのをやめた松岡にたずねた。
「うん、ちょっと…」
松岡自身、合点がいかないようだった。見ると、先ほどまでは反り返るほどだった彼の分身が、まるで気を失ったかのようにしおれている。
以来、松岡からセックスに誘うことはなくなった。それどころか、このことは絶対に誰にも話さないで欲しい、と泣きそうな声で頼まれた。
『これが自尊心ってやつなの?』香織はぼんやり考えてみたが、自分には何もしてあげられそうにない。

『どこかに相談するしかないわね…』